石油の町・大慶市の囲碁スターたち(中)
前回は大慶市が石油の街として急激に成長するまでの変遷を辿ってみたが、大慶市が石油の街として急激に成長する時期はちょうど日本が戦後の15年間ほどの復興期を経て高度成長期に入り、新幹線や高速道路が相次いて登場し、東京オリンピックが開催される20世紀60年代前半に当たる。
石油の街として急激に成長する激動の時代から約半世紀後の2010代前半、今度は大慶市は囲碁の街という新しい顔で再び全中国から注目されるようになる。
大慶市のこの新しい顔にとって象徴的な出来事が柁嘉熹棋士の登場である。柁嘉熹(だ かき、トゥオ ジャシ)は、1991年1月15日生まれで、 5歳で囲碁を学び、幼少期からぽっちゃりした体格のため、武術の習得によってもう少しスマートなスタイルにしようと、少年宮(青少年活動センター)を訪れたら、誤って囲碁クラスの教室に入ってしまった。
この間違った一歩が彼の大成功の人生の第一歩だとは、当時思った人は誰一人もいなかっただろう。
柁嘉熹少年は後に立派な棋士に成長し、LG杯世界棋王戦優勝、倡棋杯中国プロ囲棋選手権戦優勝2回、農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦で4人抜きなど偉業を成し遂げ、中国棋士ランキングでは2012年・2016年に3位にまで上り詰めるほど、中国のトップ棋士の一人になる。
そしてまた、大慶市の囲碁の街という顔を決定的なものにしたのは李 赫(り かく、リ・ハ、1992年1月1日 – )、4歳から大慶の囲碁学校で学ぶ。
2003年全国児童戦女子組に優勝し、清風少年囲棋隊入りする。2005年初段、国家女子囲棋隊入り。同年百霊製薬杯中国囲棋女子新老対抗戦に出場して4戦全勝。2007年百霊杯中国女子囲棋オープン戦決勝で(“は”を加える)葉桂を2-1で制し優勝。2008年女子新人王戦決勝で范蔚菁に2-0で優勝。
2009年二段、正官庄杯世界女子囲碁最強戦に中国チーム2番手として出場、3人抜きして中国優勝を果たす。2011年女子名人戦決勝で陳一鳴を破り優勝、スポーツアコードワールドマインドゲームズで団体戦とペア戦の2種目で金メダル獲得。
2012年、芮廼偉九段を破って第3回穹窿山兵聖杯世界女子囲碁選手権優勝し、五段へ昇段。2015年女子甲級リーグ15勝3敗の成績で最優秀選手、閉会式で自作の詩を披露したのなかなかの才女だ。(つづく)