2020年08月23日 中国囲碁事情

若い頃 筆者は囲碁を打った経験もないため、正直 日本に来るまでは呉清源のことをほとんど知らなかった。来日して日本のテレビで初めて呉清源を見たのはおそらく1990年代の前半だったと思う。



来日前に1982年の日中合作の映画「未完の対局」を見てとても印象深かったので、呉清源が主人公のモデルだと知り、親しみを感じた。



当時 彼は既に70歳を過ぎて、杖を突いていた。今の目で見ても、もう完全な高齢者だ。
テレビで見た印象の限り元気そうな高齢者だとは言えず、むしろ同年代の高齢者としては老けているように感じた。

しかし、実際はその後も彼なりに精力的に活動されて、日本と中国の後進の育成や囲碁の交流に尽力した。
100歳まで長生されたことは筆者から見れば不謹慎ながら少し予想外のことだった。

なぜ70代の頃比較的に老衰しているように見える呉清源が100歳まで長生できたか、これが筆者の新たな関心事になった。易学でも知られ、中国医学の根本になる陰陽説という中国の伝統思想の研究に酔心していると聞き、医学にも通じるこの陰陽説の研究成果が呉清源の長生につながったのではないかと漠然に思った。



本稿を書くために少しインターネットで調べたら、呉清源がかつて「中の精神」という本を出したことを知った。


早速買ってかいつまんで読んだ。本の題名になっているわりには実際この「中の精神」についての記述は少なく、「中の精神」についての説明もそう分かりやすいものとは言えないが、明らかに調和という意味の「中の精神」を最高の目標として呉清源は追求してきたように感じた。



この「中の精神」が 呉清源の囲碁を強くし、呉清源の晩年の体も強くして長生きできたというふうに思う。

寄稿 天成司法通訳事務所 代表”章文”

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